義理の母親と肩の痛み
私の勤務している整形外科病院で手術されたAさんの話です。
左肩の腱板という筋肉の断裂に対して、縫合する手術をされています。
その手術はだいたい1ヶ月を目安に退院するのですが、そのAさんは痛みが持続し、退院が遅れていました。
身体的には、首と胸の筋肉が硬くなっており、その筋肉の間を血管が通るため血流が悪くなって肩の痛みが長引いているのでないかと考えました。
また、横隔膜が硬くなっており、横隔膜を緩めることで首と胸の筋肉は緩みが感じられた為、横隔膜と首と胸の筋肉は何かしら関係性があるようでした。
そんな中、Aさんに対して「早く退院したいでしょう?」と聞くと「帰りたくないです。」と意外な答えがかえってきました。
「なぜ、帰りたくないのですか?」
「義理の母に会いたくないからです。」
「なぜ、会いたくないのですか?」
「義理の母に会うときは、本当の私じゃないんです。」
どういうことかというと、Aさんは旦那さんと結婚して旦那さんの家族と会うときにいつもの自分より明るく振舞っているとのことでした。
旦那さんの家族は物静かな雰囲気で、Aさんがその場を盛り上げなくてはと思ったからでした。
義理の母親はAさんの明るい雰囲気を気に入って、よく会う機会があるとのことでした。
ただ、Aさんは義理の母親と接する際は無理をしているので、その状況がストレスになっていることは容易に想像ができます。
退院したら義理の母親に会わなくてはならないので、帰りたくないという表現を、痛みという形で表現していたとも考えられます。
また、身体的な要素を思い返してみると、横隔膜の硬さがありましたが、横隔膜が硬くなる原因として、感情を抑制することが多いと硬くなる傾向にあります。
義理の母親に対して我慢して、感情を抑制した結果横隔膜が硬くなり、首と胸の筋肉に硬さを作ることで肩の痛みに繋がったとも考えられます。
どちらにせよ義理の母親に対するストレスが肩の痛みを引き起こしていると考えることもできるのではないでしょうか。
身体的に現れているサインを素直に読み取り、それを患者さんに伝えることで、その奥に隠されている本質の部分が現れてきます。
身体が健康でもココロが豊かではないと本当の健康とはいえないと考えています。
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